バンドにおけるベースのグルーヴを考察。リズムとの違いや練習法など

ベースを弾く中年男性

「ベースはグルーヴが大切!」

これは紛れもなく、全ベーシスト共通の認識です。

ただグルーヴって抽象的でイマイチ分かりにくいものです。
なぜなら「グルーヴとは?」の完全な答えはこの世に存在しないからです。

この記事ではベースの初心者、ベースに興味を持ち始めた方のために

  • そもそもグルーヴって?
  • どうやったらグルーヴできる?
  • 練習法は?

について、なるべくやさしく、分かりやすく解説します。

ベースのグルーヴを感じられるようになると、ベースの楽しさが2倍にも3倍にもなりますよ!

グルーヴとは?明確な定義はない

まず、冒頭で書いた通り「グルーヴ」という言葉に明確な定義はありません。

信頼性に若干疑問があるWikipediaですが、意外と簡潔で的を得ていたので引用させて頂きます。

グルーヴ(groove)とは音楽用語のひとつ。 形容詞はグルーヴィー(groovy)。 ある種の高揚感を指す言葉であるが、具体的な定義は決まっていない。

上記では「高揚感」とありますが、

「聞いていて気持ちいいかどうか」

これが、グルーヴにおいては非常に重要です。
気持ちいかどうかは人それぞれ好みで違ってくるので、これがグルーヴの定義をより難しくしてるとも言えます。

グルーヴとリズムの関係、違い

正確なリズム=良いグルーヴではない

正確なリズム=良いグルーヴとはなりません。

もし正確なリズムが良いグルーヴなのであれば、打ち込み音楽が最も良いグルーヴということになります。
そうじゃありませんよね。
(もちろん打ち込み音楽でも良いグルーヴはありますが。)

イメージとしては、リズムの上にグルーヴが作られている感じです。

グルーヴとリズムの関係性

リズムの土台の上にグルーヴがある

シンプルに言うと、
リズム・・・曲を演奏する最低限のマナー
グルーヴ・・・曲の個性を上乗せする要素

誤解を恐れずに言うなら、リズムは8分音符、16分音符など楽譜に表現しやすい要素で、グルーヴは「ほんの少し」強いとか弱いとか楽譜に表現しにくい要素です。

BassGeek編集部

曲をラーメンで例えるなら、温かいスープに細くて長い麺があるのがマナー(リズム)で、麺の茹で加減や微妙な太さの違いが個性(グルーヴ)といったところかな?

グルーヴ感を出すには音の「タイミング」「長さ」「大きさ」が重要

グルーヴ感を出すために、まず意識したいのは以下の3つです。

  • 音を出すタイミング
  • 音の長さ
  • 音の大きさ

音を出すタイミング

音を出すタイミングは、グルーヴを決める要素で最も重要ともいえます。
音を出すタイミングが、ドラムの刻むリズムとピッタリなのか?ほんの少し早いor遅いのか?ということです。
この「ほんの少し」というのがすごく重要で、16分音符よりももっともっと短い時間です。
まずはドラムとピッタリのタイミングで音が出せるようになるところから始めると良いと思います。

音の長さ

音を「出す」タイミングも重要ですが、音を「切る」タイミングも重要です。
すなわち、音の長さです。
これも良いグルーヴのためには、音符には表せないような微妙なコントロールが必要です。
自分が好きな曲のベースラインがどのタイミングで音が切れているか、よく聞いてみましょう。

音の大きさ

音の大きさは、まずはしっかり揃えるところからスタートです。
揃えることができたら、指やピックのピッキングの強さで強弱をつけられるようにすると、よりグルーヴが良くなります。
歌と同じで、盛り上がるパートで力強く弾いたり、落ち着いたパートではやさしく弾いたりするのが大切です。

バンドにおけるベースのグルーヴの役割

グルーヴはバンド全体でつくるもの

まず、大前提としてグルーヴはバンド全体で作り上げるものです。
ベースとドラムだけが重要とか、そんなことは全くありません。ギターのフレーズやボーカルの歌いまわしも大切な要素です。

グルーヴの土台はドラム&ベースのリズム隊でつくる

グルーヴはバンド全体でつくるものです。
しかし、土台はドラムとベースのリズム隊がしっかり作る必要があります。

バンド内のグルーヴの構成

バンド内のグルーヴの構成

土台がぐちゃぐちゃでは、その上に積み重ねようがないですよね。
ギターやボーカルが間違えたとしても、戻ってこれるようなグルーヴの土台をつくるのがリズム隊の役割です。

理想はベースだけでもグルーヴを生み出せる状態

グルーヴの土台はドラムとベースで作ると言いましたが、理想を言うとベーシスト単体でもグルーヴをつくれるとベストです。

例えば以下の動画。
弾いているのは百戦錬磨のベーシスト、ピノ・パラディーノさんです。

イントロはベースだけですが、すでに曲のグルーヴが出来上がっていて、あとからドラムが入ってきています。
ドラム頼りになるのではなく、しっかりとベーシスト自体がリズムを刻むのが大切です。

グルーヴ感を身につけるための練習法

グルーヴ感がいい演奏をできるようになるためには、以下のステップです。

  1. グルーヴを感じることができるようになる
  2. グルーヴに必要な要素をコントロールできるようになる

1:グルーヴを感じることができるようになる

グルーヴ感を感じることができるようになるには、以下のようなことを試してみましょう。

  1. 自分が気持ちいい!って感じる曲を用意
  2. その曲のベースラインをひたすら聞いて、歌ってみる
  3. 曲に合わせて踊ったり、ドラムを口で再現したりしてみる

好きな曲をいろんな角度から楽しみます。ハイハットだけ追ってみたり、バスドラムだけ追ってみたりなど。
こうやって何曲も好きな曲のベースやドラムを追っていると、自然とグルーヴを感じられるようになります。

BassGeek編集部

車の中でやると対向車の人から変な目で見られるよ!

2:グルーヴに必要な要素をコントロールできるようになる

楽しみながらやりたい時は、自分の好きな曲で練習です!
「音の出すタイミング」「音の長さ」「音の大きさ」など徹底的に研究しながら真似してみましょう。

基礎練習をする場合はメトロノームを使いながらやります。
メトロノームを使わないと基準となるリズムがないので、練習の効果が半減します。
フレーズは簡単なものがいいです。ドレミファソラシドの上下とか。
できれば演奏を録音して聞き返してみます。

BassGeek編集部

最初のうちは自分のヘタクソさに愕然とするけど、コツコツやればうまくなる!絶対!!!

ベースのグルーヴが堪能できる曲の紹介

「音を聞いただけで誰が弾いてるか分かる」

この域に達することはベーシストとしてこのうえない喜びです。そんなグルーヴを奏でている曲とベーシストをご紹介します。

ロッコ・プレスティアのグルーヴ(曲:What is Hip)


Tower of Power のWhat is Hipという曲です。ベーシストはロッコ・プレスティア。
ロッコは、ミュートの効いた16分音符を敷き詰めるスタイルです。
この「プクプクプク・・・・」って音を聞いただけで「ロッコだ!」って分かるくらい独特のスタイルです。
これ自分で弾いてみると分かるのですが、めちゃくちゃグルーヴ保つのが難しいです。まず単音で16分音符を弾き続けるだけで体力的にきついですし、何よりこの「プクプク」というミュートの音を保つのがすごくに難しい・・・

バーナード・エドワーズのグルーヴ(曲:Le Freak)


ChicのLe Freakという曲です。ベーシストはバーナード・エドワーズ。
素晴らしくメリハリの効いた「これぞファンク!」といったベースです。音の切るところはしっかり切って弾ませたり、わざと伸ばして粘っこくしたりすごく巧みに音の長を変えています。
バスドラのタイミングやギターのフレーズにも注目しながら、このベースを聞いてみると更におもしろいですよ!

「グルーヴとは何か?」に答えはないので、ぜひ自分なりのグルーヴ論を考えてみてください(^^)